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2週間前、ふた月振りにお母さんが帰ってきた。

「お父さんの還暦祝いをするんだけど、来てくれる?」

親父の勤務地が変わって、
お母さんは親父と神戸へ行ってしまった。
そして、お母さんはときどき一人で神戸に帰ってくるのだ。

お母さんが戻る日…
ぼくは仕事で休めなそうにないから無理だと言うと、
お母さんは寂しそうな顔で家を出ていった。

ぼくは家で一人ぼっちになると、
お母さんには悪いことをしたなぁ…と後悔した。

沈んだ気分を吹き飛ばしたくて
ぼくはテレビをつけた。

司会者とゲストが楽しそうにおしゃべりしている。
その遣り取りで、
ぼくはゲストが司会者から電報を受け取っているのが気になった。

「そういえば、電報という手があるな!」

親父の還暦祝いに、
ぼくは真っ赤な鳳凰が羽ばたいているデザインのカードを選んで、
メッセージを添えて贈ることにした。

親父の還暦祝いが行われた翌日、
お母さんから電話がかかってきた。
お母さんの声はいつもより弾んでいた。

「ありがとう。電報届いたよ。
感情をあまり出さないお父さんの久しぶりの笑顔が見れたわ」

「お父さん、喜んでくれたんやな」

「当り前よ。お父さんね、メッセージを読んでからしばらくの間、
鳳凰にみとれていたわ」

おしゃべり好きのお母さんの話はいつものように脱線し、
なかなか話が尽きなかったが、
ようやく電話を切ることができた。

お母さんの声が聞こえなくなると、
今度は親父の姿が浮かんだ。

今頃
座敷に胡坐をかいて愉快な顔で
親父はビールを飲んでいるのかなぁ…

その横で、あの真っ赤な鳳凰は羽を休めていることだろう…

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