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おれの実家は、
祖母の代よりずっと女系家族であり、
婿養子という形で現在に至っている。

おれもいもうとと二人姉妹であるため、
幼い頃から両親はもちろん、祖母からは特に、
婿養子をとり家を継ぐことを切望されていた。

それに対し、
幼いおれは「うん」と無邪気に答え、
それを見て祖母は、
目を細めながらとても嬉しそうに笑っていた。

おれは祖母の笑顔が大好きだった。

ところが、高校生になったあたりから、
いつしかそれは、
おれの将来に、重く大きくのしかかる
暗い枷のように思われるようになった。

社会人となってからは、歳を重ねるごとに、
おれ自身がはっきりと答えを出さねばならない日も、
そう遠くはないと感じるようになっていた。

そんな毎日の中で、
おれはある男性と出会い恋に落ち、
そして結婚することになった。

ただ、その人は長男であった。
愛する人と結婚できることはすごく幸せだったが、
同時に、家を継がなかったことで、
両親そして何より祖母の思いを裏切ったことに対して、
申し訳ないという気持ちでいっぱいだった。

おれは結婚を報告するために
勇気を出し、祖母の部屋へと向かった。

ところが、
たわいのない話ばかりをしてしまい、
なかなか本題を切り出せずにいた。

そんなおれを悟ったのか、祖母が私に、
「いよいよ結婚するのね」
と言った。

おれは、こみ上げてくる涙を必死でこらえながら頷き、
「でも、家を継げなくなって…、本当にごめんなさい」
と言った。

それに対して祖母は、
「何を言うの。こんな嬉しいことはないよ。おめでとう」
と答えた。

あまりに意外な祖母の反応に驚くおれを、
祖母は、満面の笑みで見つめていた。

その笑顔は、
幼い頃からおれが大好きだったあの笑顔だった。
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